縁に立ってこちらを振り返るチサト。
その背景にまた一発新しい花火が上が・・
「最期に・・一緒に花火見れて・・
心残りはもう無いよ・・。」
「なっ・・!!」
まるでスローモーションのように・・
無い地面に一歩踏み出したチサトの姿が重力に従っていく。
でも何故か自分の体だけはそれを無視して光速で動いた。
「チサト!!!!!!!!」
僕ってこんなにも反射神経良かったんだ・・・。
ギリギリ・・・
ギリギリ両腕でその左腕を掴んだ。
「・・・・離して・・・・離してよ!!」
「・・・!!」
言い返す余裕も無い。
地面なんて見えない。
視線の背景は“暗闇”。
手を離した瞬間、
チサトはそこへ吸い込まれてしまう。
“うわぁ~飛び降りてぇ~”
どうして・・・なんで急に・・・?
あの時の言葉は・・
冗談じゃ無かったの・・?
チサトはいつの間にか大粒の涙を浮かべ、
“離して”と叫び続けていた。



