「やぁお三方揃いで。」

やがて校舎の方から丸井先生が現れる。



「はい、今日はちゃんと貸してあげるから針金使っちゃダメだよ。」


「ありがとうございます。」


丸井先生の手から荒木へ屋上の鍵が渡った。


いつも不法侵入していた屋上へ、
今日は正規ルートで入ることが出来る。


「俺一応、宿直室で寝てるから。
帰る時声掛けてね。」




“先生も一緒に見ればいいのに”


という言葉を荒木も僕もチサトも発さなかった。


荒木と僕には、“チサトと二人きり作戦”があったので当たり前だけど、

チサトが言い出さないか冷や冷やしていたのでちょっと安堵する。