「あ、ありがとう。」
「お前も1組か?」
「うん・・あ、く、窪田です。」
「荒木。」
「荒木・・君・・。」
「呼び捨てでいい。」
「え・・・。」
「荒木でいい。
お前の事は窪田って呼ぶ。」
「は、はい。」
「敬語じゃなくていい。」
「ご、ごめんなさい・・あ、ごめん。」
荒木が“親友”になるとはこの時正直思っていなかった。
ただ単に、チャック閉め忘れを指摘してくれた恩人なだけだと思っていた。
だけど、この学校に足を踏み入れて数分の間に僕は・・
生まれて初めての一目惚れを経験して、
生まれて初めての親友と出会った。



