『岡本捜査官は、あと一歩まで迫りながら逮捕出来なかった、

財前教授の事件をずっと引きずっているのかもしれませんね。』


「確か・・財前は奥さんとアメリカへ渡ったんでしたっけ?」


『“逃亡”と表現してもいいです。あの当時はまだ“時効”がありましたからね。

岡本捜査官が全ての謎を暴いた数時間前、
タッチの差で財前教授は日本を発っていた。

ちなみに彼は現在も向こうで生活を続けているようです。』




“文太さんは首吊り死体が見つかる度に、他殺だと喚くちょっと困った人でしてね”


ナカサキ署で柿谷主任が言っていた言葉が蘇る。