Summer -未成年-



高校教師 丸井シゲルが首を吊ったのはこの公園を通り抜け、

ナカサキ山へと続くハイキングコースの途中。


緩やかな傾斜を登りながら、
捜査資料に書かれている大木を探す。



『神野くん、
そこから少し西に逸れてください。』


「・・・・あ、あれか。」


『写真で見るより立派な木ですね。』



やがて目の前に現れたそれに近づき、
上を見上げる。


樹齢何百年だろうか・・生い茂った頂上は雲まで伸びているのかと錯覚させられる。


ここにロープを垂らし首を吊ったのか、

それとも・・・

第三者によって吊るされたのか・・。





『神野くん。』


「はい。」


『周囲には何もありませんか?』


「・・・・・・・・特にこれといった変わった点は無いです。」


『・・・・・・・・・・・・・・。』


「どうしました?」


『いえ・・少し・・』







「おどれが東京もんか?」







!?


ヒデさんに断って一旦通信を終える。


声を掛けられ振り返ると・・・・・

こんがりと日に焼け、短髪のその髪も若干の無精ヒゲも白みがかった・・・

“現場の叩き上げで育った”
“ベテラン刑事”

という雰囲気が一発で伝わる男が立っている。