次々と皆が報告をし合う。
その度に皆の口元が柔らかくなる。
儂はその光景に震えながら、会議室の一番前に座る山ちゃんに必死の視線を送っていた。
「よし、みんなご苦労。
今日までに洗い出した点から、
丸井シゲルは【自殺】と断定する。
これで解散・・」
「ちょっと待たんか!!!」
山ちゃんが儂の視線に気付きながらも、
目を逸らして結論を出そうとした。
儂が立ち上がった瞬間、
その場の皆が一斉に耳を両手で塞ぐ。
「文太さん・・・・なんですか?」
「山ちゃんよ。儂の意見を聞け。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
山ちゃんが小さく首を横に振った。
それは決して“No”という意味では無く、奴なりに儂を気遣ってくれたんだろう。
どうやら儂はすっかり“老害”として皆に認識されているらしい。
山ちゃんは庇ってくれたようだが、
儂が会計課 落とし物係に異動になるのも、少なからずその事が影響しているのかもしれない。
だが・・・
「丸井の死には不自然な点がいくつかある。」
これは黙って、“はいそうですね自殺ですね”と引き下がれるようなヤマじゃない・・!



