「あ、みんなごめん。文太さん来ちゃったからまだ降ろさないで。」
「・・・・・・・・・・・。」
樹齢100年は軽く越えている一本の太い木。
その枝から重力に従順と・・
1人のスーツ姿の男が吊るされていた。
「・・・・・・・南無阿弥陀仏・・。」
ちょうど鑑識が仏さんを降ろそうとしていたところだったが、
手を止めてくれたのでいつものように手を合わせる。
「遺書は見つかっていませんが、
足下にご丁寧に財布が置かれていました。
俺達にすぐ身元が分かってもらえるよう、仏さんが首吊る前に置いたんだと思います。」
「まだ若そうじゃな・・。」
「名前は【丸井シゲル】38歳。
現在、身元照会中です。
まぁこの格好だから、どこかのビジネスマンってところでしょうね。」