「文太さん・・・。
もう再来月から会計課でゆっくりしてもらうんだし、
いい加減“事件”に捕われんでくださいよ。」
「言っとくけどな、その異動人事は全くもって納得いっとらんのだからな!?」
「はいはい、朝っぱらからその、
カラスも撃退する怒鳴り声は勘弁です。
・・森テ乃公園から続く登山道で死体が発見されました。」
「すぐに向かう。」
「文太さん!!」
「あぁ?」
「たまには上司らしい事言わさせてもらいますけど、
捜査をかき回す真似はもうやめてくださいよ。」
「なんじゃと・・?
儂がいつ掻き回した!?」
「俺だって文太さんには3月まで刑事課にいて欲しかった。
・・3/31の終業の鐘が鳴る時に・・
花束は俺から渡したかったんですよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「先に言っておきますが、
発見されたのは【首つり死体】です。」
「!?」
「もう1度言いますよ?
現場の状況、死体の状況。
これらから冷静に判断してください。
・・・財前教授の影を・・
いつまでも追わないでください。」
「・・・・・・・・・・・・。」
“分かりました”と答えたくなかったので、
山ちゃんに無言の視線を向けただけで刑事課を出た。



