“男ってバカねぇ~”・・・
と我ながら思ってしまう。
スウィフトが心の底からの困り顔を見せた瞬間、
可愛い > 面倒くさい
と逆転してしまった。
気付けば僕もスマホを右手に持ち、
QRコードをちゃっかり差し出していた。
「ありがとっ!」
「・・・チサト・・・。」
“友達に追加しますか”と表示された画面。
あなたは台湾の非常口の看板ですか?
と思わず言いたくなる、
必死に逃げるポーズを取ったアイコンでは、当たり前だけど眼帯は外れていた。
「みょ・・苗字は?」
「・・?チサトでいいよ!」
「・・・・・・・・。」
「じゃあ私は・・・・・・。」
「・・・・!」
「うーーーん。この名前・・嫌いだから“窪田”でいいよね?」
「・・・・・・・・・・。」
“トシヤ”が嫌いと言われたのは人生初だった。
若干のショックを受けつつも、
僕に手を振って教室を出て行ったテイラー・・・じゃなくて、
チサトの後ろ姿に、
ちょっとニヤついて手を振り返していた。



