“ガチャリ”
「失礼します。」
「どうぞ。」
「警視庁から来た神野です。」
広報部 地域PR課と言うと不要な問答が発生すると思ったので、あえてすっ飛ばした。
扉を開けた先、椅子に座っていたのはオールバックの髪に派手なメガネをかけ、
金のネックレスが首元で光る、
恰幅の良いおっさんだった。
医者はやっぱり儲かるんだなと実感する。
「あ~刑事さん。午後の診察が始まるので手短にお願いしますよ。」
「水森チサトさんって16歳の女の子がここで中絶手術を行ったか確認しに来ました。」
「またそれですか・・・。この前もナカサキ署の人達が来て聞かれましたよ。
そんな子は当医院を受診していないと言ってるでしょう?」
「佐倉トシヤが殺されました。」
「!?・・・・・・は?」
「・・・・・・・・・。」
「・・さ、佐倉さん?誰ですか?」
「・・・いくらで口止めされたんですか?」
「なにを・・。」
「佐倉から金を貰い、通常の手続きを踏まずに手術したんじゃないんですか?
もし警察が捜査に訪れても何も見つからないよう、
カルテを残さず保険も通さず、“闇医者”まがいの事をしたんじゃないんですか?」
「人聞きの悪い事を言うな!!
名誉毀損で訴えるぞ!?」
「あんた・・腐っても医者だろ?
そんなに金が大事か・・?
どうして佐倉の片棒を担いだ!!?」
「し・・知らんぞ・・
俺は何もやってない・・。
証拠はあるのか?
証拠があってからここに来い!」



