アイツの後ろ・・・その背後に・・
さっきまでうつ伏せで倒れていたチサトが立っていた。
その右手に血が付いた灰皿を持って・・・僕達以上に息切れをしていた。
“チサトが不意打ちで背後から殴った”
と理解しきる前に、
僕と荒木は隙が出来たアイツの首に縄を掛ける。
「引っ張れ!!!!」
「・・!!!!」
力の限り・・・全ての怒りと憎しみを込めて両手で掴む縄を引っ張った。
「アゴッ・・・ガッ!!!」
ほどこうと首に手をやり、両足をジタバタさせてきても、絶対に手は離さなかった。
「アァ・・・・!・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・」
先にジタバタが止まり、
その後に手がぶらんと力を無くす。
“息が止まった”
誰が見ても一目で分かるほど、紫に顔が変色したアイツが・・動かなくなった。
「・・・ハァハァ・・ハァハァ・・」
「ハァハァ・・ハァハァ・・・・・。」
「・・・・・・・。」
“ボトッ!”という音と共に、
チサトが持っていた灰皿を床に落とす。
「ハァハァ・・ハァハァ・・チサト・・助かった。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・ハァハァ・・チサト・・
ふ、服・・服着なよ・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・ウワァァァァアア!!!!」
僕達以上に、
この状況に緊張感が発生していたのか・・
線が切れたかのようにチサトが号泣して僕に抱きついてきた。
初めて見る女性の全裸も、
直接押し当たる胸も、
不思議なほど冷静に受け止められた。
「ご、ごめん。」
何て言っていいか分からず、とりあえず謝る僕は相変わらず格好つかなかったけど、
その体をギュッと抱きしめ続けた。



