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「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
確実に中にいる。
そう確信出来るかのように、
磨りガラスから明かりが漏れている。
チサトのアパート、
205号室の前に息を殺して2人で立つ。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・。」
“うん”と頷いた荒木が中腰になって、
ポケットから針金を2本取りだした。
“練習すればどの鍵も大体開けられるようになる”
入学早々、親友と出会って早々・・あの時はこうなるなんて想像もしなかった。
あの時は将来役に立たない変な特技だと思った。
だけど荒木のピッキング術は今確かに、
チサトを救い出す大切なピースとなる。



