「く、窪田トシヤです。
見た目のまま・・
パソコン部に入ろうと思ってます。
あ、でも僕は決してオタクではありません。よろしくお願いします。」
教壇から席へと戻る際、光の速さであの子の席を見てまた視線を床に移した。
ただ、残念ながら僕の震えた自己紹介より窓の外のほうが興味あったらしい。
座る間際に再び光速チラ見をした時も、
彼女の頬杖は変わっていなかった。
「じゃあ次の人どうぞ。」
その後も何人かの自己紹介を傍観し、
ついにその時がやって来た。
席を立った気配を背中で感じ取る。
やがて後方から、相変わらずブレザーのポケットに両手入れたままの後ろ姿が目に入り、
教壇に到着すると、
こちらへ振り返って眼帯と目が合った。
ホントはメモしたい気分だったけど、一言一句聞き逃すまいと2㎜だけ前のめりになる。



