『2番線、ドアが閉まります』


まただ。また今日も、私は見つめてただけ。

いくら私が願っても、電車は彼と私の気持ちを置き去りにして走りはじめる。







「…またなの?」

「…だって」

「ストーカーじゃん、完全に」

「う」


学校に着いて、いつもみたいにまだ彼のことを考えていたら、頬が緩みきっていたらしい。

私の密かな恋心を知っている、親友の(のどか)は、呆れたように私を見る。

指摘されたことは否定できない。


「学校も知ってるんでしょ?」

「…制服で」

「名前も知ってるんでしょ?」

「同中の子が、教えてくれた」


そう。彼の名前を私は知っている。

彼の名前は上倉(かみくら)(はやて)というらしい。もちろん、彼の通う学校でも彼はモテモテらしい。…当たり前だろうけど。