そうして捉えるのはこれまた何食わぬのほほんとした時雨の笑みで。
突如の誘いに戸惑うソルトの様子などお構いなし。
「いいですねえ、恋バナ。久しぶりに若返った気持ちになりそうです」
「い、いやいやいや、いやっ!!」
「嫌?」
「いやっ、『嫌だ!』って意味じゃなくてですね!?いやぁ、時雨様の時間を割いていただくほどの話じゃないっていう謙遜の『いや』って言うか!!」
いや、寧ろ裏を返せば『嫌』って意味なんだが。
「ああ、そんな遠慮をなさらずに。百夜殿も言っていたように所詮時間を持て余した暇人ですので」
「いやもう本当っ、」
「なんでしたっけ?ヤル事目的じゃないデートの仕方でしたっけ?」
「ちょっ…改めて口に出さんでください。最低さ具合が自分に跳ね返って大打撃っす」
間違っちゃいない。
間違っちゃいないが痛い。
思わず勢いで発した極論の一言であったが改めて聞くと自分の最低さが実に際立って痛い!!
そんな跳ね返りに顔を両手で覆いながら悶絶してしまうソルトなのだが、相手は時雨だ。
若いって良いですねえ。なんて言葉で締めくくりながら結局は自分の意志を曲げる様子はない。
そこはどこか百夜にも近い感覚だとソルトが諦め折れるのは必然というのか。



