Love EaterⅡ



公衆の面前だとかどうでもいいと、六花の頬に手を添え至近距離から双眸を覗き込んだ刹那。

不意に全身がピリッと痛みを走らせながら緊張する。

マズイなんて直観的に思った時には既に遅く、地鳴りを足下から感じた直後には轟音が響き地面に亀裂が入り始めたのだ。

ものの一瞬。

若者で賑わっていたお洒落な街中は違うざわめきに切り替わり。

笑顔は畏怖に。

笑い声は悲鳴に。

地震さながらの振動で窓は割れ建物の外壁は崩れ車は玩具の如く転がっている。

まともに立ち続ける事など困難であった衝撃に、見渡す限り皆その場に膝をつき何事なのかと徐々にパニックを起こしかけている。

勿論、怪我人も多数。

今のところソルトが眼を見張る限りは死者らしき被害は見えない。

六花の身も、誰よりも早く危険を察知した事で瞬時に抱きすくめて身を屈み衝撃やそれによる弊害から守る事は出来た。

幸い怪我などはしなかったが、僅かにも動けば自身からパラパラと落ちる細かな小石や砂埃が事態の大きさを物語る。

見渡す限りの燦々たる光景にはソルトの糸もピンっと冷静なる緊張一色に張り直るのだ。

「……盛大に…やってくれたもんだよ」

魔女が危険分子だと言ってもそう悪意に走るものでもない。

だから、神父なんてものをしていても魔女が引き起こした大事件なんて物に遭遇する方が稀。