どこまでも他人事の様に語る六花ではあるけれど、ソルトからしたらとんでもない事実のオンパレードである。
いや、それが事実であるならだ。
まだ仮説と言う段階ではあるが、どうにも綺麗にピースがハマって答えとなってしまうような気もして。
六花は楽観的であるけれど、仮に本当にクローンなんてものであった場合造られた理由というものも存在するはずだ。
誰が何を思ってどんな目的で六花というコピーを造ったのか。
いや、
いやいやいや、まだそうと決まったわけじゃねえからな俺。
勝手な憶測で思考を塗り固めるなよ。
別にクローンとは限らねえじゃんか。
半透明の女ってやつだって普通に六花の母親かもしれねえし。
母娘なら生き写しってくらいに似てても不思議じゃないし、六花が魔女なら母親が魔女ってのもおかしな話じゃない。
六花の基盤の意識とやらがどこの誰の物かは分からないが、魔女の力があれば六花の在り方も成り立つのかもしれない。
それに何よりだ、
「六花、」
「ん?何?」
「………俺の事好きか?」
「大好きに決まってる」
何を今更。とばかり、グッと親指を突きだした六花の良い笑顔といったら。
仮に知識や意識が誰か他の人間からのコピーであっても、俺を好きだって言う感情や人格は六花自身のもの。
とりあえず……
「……それでいいや」
「ふえっ?」
「俺馬鹿のど変態。それだけで十分だなって思ってな」
「っ~~それって、プロp…」
「プロポーズじゃねえから」
「チッ…」
「舌打ちすんな。ってか本当に脳内お花畑な、お前」
「何事もポジティブに捉えて過ごした方が人生を謳歌してると思いまーす」
「……違いない」
「あはは、素直に認めちゃった」
本当に、これでいい。



