まあ何にせよお赦しは出たのだからして。
「じゃあ、まずは当たり障りのないとこで……何で自分を『僕』呼びよ?」
「あ、待って!待って待って!!」
「へっ?いきなり地雷踏んだ感じか!?」
「っ~~新作フラペチーノだってぇぇぇ」
「………はっ?」
「あれ飲みたい!飲まないとって使命感に駆られる!!」
「って、スタボの話かよ。なんだよ使命感って」
「人生を謳歌する使命感であります!隊長!」
「っ……」
「ねっ?だから僕の話はお茶しながらしよーよ」
完敗。
謳歌する為だなんて言われてしまえばソルトに勝ち目なんてある筈もない。
どんな物にも貪欲になれと教えたのはソルトなのだ。
だからこそこんな移り気な六花の姿にも不満など言えるわけもなく、そんなソルトを読みきっているからこそ六花もクスリと勝気に笑う。
結局、ソルトも小さく失笑だけ零して、六花の望むままにその身を動かしたのだ。
「で、何だったっけ?僕がなんで『僕』って一人称かってはなしだっけ?」
お洒落で優雅なBGMの流れる店内の一角。
ソファ席に並び座って六花はストローでフラペチーノの飲み、ソルトはホットコーヒーを口に運んでいた時間。
ようやくそのタイミングだろうと話を再開させたのは六花の方で、自分でも確認する様にソルトからの問いかけを復唱すると、
「ん~……何でだろうね?」
「やっぱりそんなオチか」
「いや、だって本当に分かんないんだもん。何か含めて落としたつもりないよぉ?」
いや、それは俺も分かってるけどもさ。



