そんなよく分からぬ沈黙の間が続けば六花であっても羞恥が薄れて疑問の方が強まるのも当然。
そうしておずおずと、
「ソルト?」
「あ……えっと、」
「あの……冗談…だよ?」
「……」
「魔女でも…手を繋いだだけじゃ妊娠はしないと思うよ?」
「そ……だよな……」
ソルトのどこか深刻な面持ちにさすがに六花もそんなフォローを入れてしまう。
六花としてはいつものセクハラの延長。
そのくらいに自分としては歓喜に興奮したのだと示したに過ぎなかったのだ。
なのに、いつものようにソルトの怒号が飛ぶことはなく、代わりに離された手とどこか焦ったような強張りと。
流石に冗談を冗談だと説明し言葉を取り下げることでソルトの様子を伺ってみる。
ただ、六花とは違いソルトからすれば素直に『だよな』とは言いにくい事情。
それでも六花の突っ込みは多少なり不安を取り除く効果はあったらしい。
確かに、触るだけで簡単に妊娠するなんて事はあり得ないよな。
仮に出来るとしてもお互いにその意識を持ってしてでなければ成し得ない事だろうし。
こんな風に無意識に成立するような孕み方なら今までの行為でとっくにだった筈。
良くも悪くも六花のフォローでソルトの思考もそんな結論に落ち着き始める。
今まで抱きしめようがキスをしようがそんな前兆はなかったのだ。
気に病みすぎだ。
それでも、笑っては流せぬ切実な問題。



