「な……ろ、六花?」
何でそんな真っ赤になってんだ?
とソルトが困惑するのも当然だ。
思い当る節が無さすぎる。
どんなに自分の言動行動を振り返っても六花をここまで羞恥させるほどの事をした覚えがない。
寧ろ、羞恥なんて感覚皆無にセクハラ発言を連発していたのは六花の方。
あ、まさか今更その反動で照れてるとか?
なんて、ソルトの中でぼんやりと答えを打ち出しかけていた最中にようやく。
「…っ……しよ」
「はっ?」
「ど……しよ。…ソルトに手……繋がれた。嬉しい、…恥ずかしい。……っ……妊娠する」
「っ………」
「これ絶対した。妊娠した。今まさに受精した。うううっ……嬉しすぎて動けないよぉ、ソルトォ」
『するかボケェッ!!』
なんて、いつもの勢いで突っ込めたのはソルトの内側でばかり。
実際は言葉すら失い目の前の美味しそうな六花の状態にワナワナと葛藤に苛まれてフリーズしてしまったのだ。
ただ手を繋いだだけであるのに、六花と言えばどうしてか耳まで顔を紅潮させ双眸まで微睡みを見せてくる。
しかも変に悶えた様な息遣いや愛らしい理由の数々、ここぞとばかりに強まる甘い匂い。
ソルトのすでに残り僅かな抑制の糸がプツリプツリと切れていくのも最早必然の流れ。



