多分、苦しいだのという理由も嘘ではないのだろう。
それでも半分は自分を誘惑する為だと宣言される事には益々お小言は言えなくなるし、押さえ込んでいる欲求の方が浮上してしまうし。
最終的にはソルトが顔を覆って項垂れ溜め息を漏らすという末路になる。
コレ本当……俺堪えられるかな?
思わずそんな不安に駆られる程、今日という日と六花の愛らしさはソルトにとって麻薬以外の何者でもない。
とにかくだ……うん、話題を逸らそう。
悶々とした葛藤を何とか押さえ込んだ末に打ち出したのはそんな打開策。
このまま服装の話を続けていたらまたいつどんな形で誘惑爆弾の被害を受けるかわかったもんじゃない。
そして俺もちゃっかりうっかりまんまと胸元見るんじゃねぇぇ!!
これすら完全に六花の策の内だかんな!!
最後にそんな叱咤激励?を自分の内々で。
そしてようやく気を取り直して息を吐くと、
「まあ、いい。とにかくなんだ?……どこ行きたいんだ?」
「二人っきりになれるとこ」
「っ………」
「ぶっ…ソルトのその顔~。冗談だって。……半分は」
「半分本気なんじゃねえか!」
「そりゃあ隙あらば誘惑もぶち込んでいくよ。僕はソルトの全部が欲しいんだもん」
「っ…お前、下手な男より案外ガツガツな」
「そんな貪欲教育をしたのはお前だ」
「っ………返す言葉もねえ」
確かに、六花の基盤を育成してしまったのはソルトの概念。
だからこそ今の六花にどんなに嘆いて突っ込みを入れようと、それが全て跳ね返ってソルトに戻ってくるのだからして。



