「で?」

「ん?」

「我儘ってやつ。どんな我儘を言うつもりだったんだ?」

ばつの悪さを誤魔化す為でもあったが、そろそろ本題の方も進めておこうかと引き上げた当初の会話。

それには六花もしつこくソルトを弄るつもりはないらしく、『あっ』と反応するなりぴょんっと立ち上がってソルトとの距離を詰めてくる。

しかも近づくなり控えめにソルトの服の端をキュッと抓んで、どこか躊躇いがちに視線をまで泳がす始末。

そんな六花のいじらしい姿には『うぉぉぉぉ!クソ可愛っ』なんて心で悶えるソルトだったが、表面ではどこまでも大人を装いフッと笑って六花の頭を撫でてみる。

「なんだよ?どうした?」

「うん、あのさ、」

「うん、」

「僕さ、……そのさ、」

「なんだよ、ここまで来て溜めんなよ」

「っ……僕っ…」

「うん、言ってみろ」

「っ~~~ソルトとデートしたい!!」

「……………………で……デー」

「トッ!デート!!」

「…………」

な、なんつうキラッキラッの純粋で期待に満ちた目で見上げてくるんだよおいっ!

思わず無言の内にそんな突っ込みを入れてしまった程の六花の夢と希望に満ちた眼差しというのか。

言った本人と言えば『言っちゃった』とばかりに両手で口を押さえ、なんなら頬を紅潮させもじもじと照れた様子まで見せてくる。