「リッカァッ!!」と百夜が危惧を叫ぶ声が先か、
……銃声が先か。
それでも、何よりソルトの耳に鮮明であったのは、
「……えっ……………」
全ての直後に響いた六花の驚愕に満ちた声音。
捉える表情もまた驚愕一色、澄んだ水色には困惑を揺らし。
その手に硝煙の揺れるソルトの銃を握り呆然と立ち尽くし見つめてきている。
そんな六花の姿がソルトの双眸に最後に映ったもの。
一瞬の出来事。
警戒を抱く筈のない相手から。
警戒の切り替えなど不可能な程刹那の出来事。
六花自身、ソルト自身、何が起きたのか理解するより早く事は起こされ終わってしまったのだ。
そうして理解が追い付いた瞬間にはソルトは地面に倒れ血だまりに沈み。
瞳孔の開ききった六花の双眸にはソルトの鮮血の赤が焼きつき認めたくない事実が精神を浸食し始めるのだ。
違う違う違うっ。
嘘だ嘘だ嘘だっ。
そんな否定の感情に反して無情にも鼻に突く硝煙と血の生々しい匂いと手に残る衝撃と。
自分の意志ではなかった。
そんな意思を持つはずなどあり得ない。
回復しきらない感覚の中でもソルトの匂いと温もりに安堵を覚えていた筈なのに。
ここが自分の居場所だと。
やはり、自分は【六花】であるのだと。
自分はソルトによってソルトの為に在る【六花】なのだと。
再認識し、『愛おしい』とようやくままなり始めた感覚で自分の腕をソルトの体に這わせるつもりであった。
それなのに。



