そんなソルトの姿に百夜はフッと小さく失笑を漏らし、蓮華に至ってはどこまでもマイペースに傍観者を決め込んで成り行き上顛末まで見届けようかという感覚でそこに居る。
時折訪れる静寂の間。
混ざりあう激情の息継ぎのような。
代わる代わる
人も変わり、混ざりあう情も変わる対峙によって、何が変化しそれによってどう事が転じていくのか。
静寂の間はまさにその分岐となる瞬間のような。
次に誰がその情を口にし行動するのか。
そんな静寂を真っ先の裂いたのは、
「っ……ソル……ト」
か細く響いた六花の声音である。
戸惑うような、どこか微睡んだ様な声音のままに、その表情は苦悶と迷走に苛まれているようで。
足元はおぼつかずにふらりふらりと揺れ、何かに抗う様に頭押さえ時折左右に振ってみたり。
「六花っ、」
ああ、ソルトの声がする。
……ソルトって…誰?…知らない。
違う、知ってる。分からないわけない。
知らない、知らない……そんな人は知らない。
うる…さいっ……勝手に……僕を支配するな。
私は…。
僕は…。
「ソルトッ……」
ソルトの呼びかけに、六花の心中はそんな自我の覚醒へと奮闘しており。
まだ自分を蝕む感覚を払拭するようにソルトの名を呼ぶと、ままなった刹那の余力でソルトの腕の中に移動して飛び込んだのだ。



