ちょっと悪ふざけしてみただけなのに、やっぱりソルトは変なところで真面目で騙されやすい。
そんな事を六花がしみじみ思っていたなんて露知らず、今も下手くそな作り笑いでご機嫌を取るように覗き込んでくるソルトの姿にはとうとう根負けにフッと小さく笑ってしまったのだ。
「一つ突っ込んでおくけど」
「な、なんだ?」
「除外条件ある時点で【なんでも】ではなくなってると思うけど?」
「ご、御尤も」
「まあ僕も別にそんな我儘を言おうとしてたんじゃないんだけどさ」
「あ、…そなの?」
「うわぁ、何その心底ほっとしたような顔。ムカつくなぁ。真面目に寝込み襲ってやりたくなる」
「っ……まあ、ほら…本題っ!!我儘とやらを聞こうじゃないか」
「……誤魔化すのも下手とか救えないね、ソルト」
「しみじみ言うんじゃねえよぉぉぉ。ああ、もうっ畜生!もう知らん!そうやってからかって遊ぶってんなら帰るからな!俺っ!」
なんて子供じみた逆切れの仕方なのか。
子供染みているなんて事は言っているソルト本人が一番分かってはいるのだ。
分かっているけれど、どうにも六花にはスマートになることが出来ず結果こんな下手くそな逃げ方しか浮かばなかったのだ。
帰るなんて言った手前勢いのまま立ち上がり六花に背を向けた物の、内心では『何やってるんだろう俺…』と早くも後悔に蝕まれている真っ最中ときたものだ。



