怒っている。
あの百夜が。
分かりやすく憤怒に表情を歪めたわけでも怒号を響かせたわけでもない。
それでも十分に伝わる殺気混じりの憤りには、それを向けられているわけではないソルトであってもゾクリと鳥肌が立つほどなのだ。
怒りの引き金となったものは明確。
先程から時雨との会話に存在をチラつかせる【あの子】という存在だろう。
百夜に呪いを施していたらしい魔女。
そして、時雨とも深く関係のある存在。
呪いがとけると同時に六花は時雨の手に落ち。
その六花は百夜の娘であったのだ。
ここまで来れば説明のされていないソルトであっても凡その予想は成り立ってくるというもの。
百夜と時雨の関係を拗らせている存在。
その拗れは過去から現在まで終結することもなく継続しているのだ。
いつか聞いた事のある時雨の過去の話。
愛する女性と死別し、再び愛した女性は友に奪われ。
そんな記憶まで回想してしまえば、抜け穴だらけの話もそれなりの塊をみせてくるもの。
【あの子】と言われる存在はすなわち六花の…。



