飛んだ脳内では俺が一生かけてこいつを守るっ!!なんて変な結婚願望らしきものまで浮上し始めているのだからおめでたい。
まあ、何はともあれそんな浮れた願望を抱こうとだ、結局根本の問題に遅かれ早かれぶち当たるのだが。
今も己で『魔女のままじゃ結婚もなにもねえじゃん!』と突っ込んでいた最中だ。
「ねえねえ、ソルト。もう一個我儘言ってもいい?」
「なんだよ改まって。我儘の塊な六花が殊勝な事だなおい」
「……やっぱりいい」
「そこで不貞腐れるか」
「……」
「フッ、おい、冗談だって」
「……」
「六花さーん?」
「……」
「……いや、……えっ?マジおこですか?」
「……」
「ちょっ…いや、冗談じゃねえか。ほら、自分でも我儘だって自負してるって言ってたじゃん?」
「……」
「ええ~……お、おい?ろ、六花ちゃぁぁん?六花ぁ?」
「……」
「っ……分かった!我儘聞いてやる!いや、どんな我儘か知らねえけど聞いてやる!あ、ヤリたい的な我儘は除外でだけど他の我儘なら何でも聞いてやるから!なっ?」
女の扱いに慣れていた筈の男が一回りも下の女子に良い様に振り回されて嘆かわしい。
どれだけ必死にご機嫌を取るのだと、本気で怒ってなどいない六花も気を抜いたら笑ってしまいそうになるほどであるのだ。
まさに惚れた弱みと言うのか。



