突如のそれにソルトが構えられるわけもなく、豪快に尻餅をついた姿は当然の如く眉根を寄せて睨む先は当然。
「っ…てめっ、蓮華っ!何しやがる!?」
引かれた勢いで六花の事も放りだしちまったじゃねえか!と憤り全開に蓮華にがなってみせたのだが。
「リッカこそ、恋に逆上せ上がりすぎて神父の勘が鈍ってんじゃない?」
「あっ?!」
「俺の知ってる六花ちゃんはねえ、リッカ以外名前で呼んだりしないんだよね」
「………っ」
「だからさ…『蓮華』なんて薄気味悪く名前を呼んだ君は誰なのかな?魔女子ちゃん」
確かに。
確かにだ。
六花がソルト以外の人間の名前を呼ぶところを見た事も聞いた事もない。
蓮華に至っては『あいつ』だの『こいつ』だの。
百夜や時雨に対しても『魔導士様』と一括りであった。
そんな結論に至れば今までの憤りなど継続する筈もなく、蓮華の投げかけた問いに同調するようにソルトも疑惑の眼差しを六花に向けていく。
視界に収める姿は確かに六花であるのに。
先程と同じ場所で座り込んで、こちらを見つめ返す姿にも敵意なんて物は感じられないのに。
纏う香りも間違えようもない六花の香り。
それでも、発したたった一言が六花でない者としての色を濃くしていく。



