ソルトの嗅覚は視覚より早くその詳細を捉えており、追って再確認のように視覚でも捉えたのは。
「っ……六花!」
「ソル…ト、…蓮華?」
「おまっ…今どこから落ちて…ってか、大丈夫なのかよ?それになんでまたそんな大人モードで…」
「異空間で練習してたんだけど…間違って落ちちゃったみたいだね。いたた…」
「お前なぁ…はぁ…」
人を心底驚かす登場をしておきながらなんて肩透かしな。
てっきり時雨さまと争いの末の落下かと思ったというのに練習って。
そんな肩透かしと僅かな安堵と。
ソルトの方も妙な緊張で構えていたこともあり、落下なんて登場こそ驚きはしたが事情はそう鬼気迫った感覚はない。
咄嗟に抱き起こした身体も大きな負傷は見当たらず、精々なぜ大人スタイルなのかという疑問程度だろう。
嗅覚を刺激するのも六花本人の香り。
なんだ…百夜が言うような六花の危機なんてないじゃないか。と、改めて周囲に視線を走らせ時雨の姿を探し始めた刹那。
「恋は盲目とはよく言ったもんだよなぁ?」
不意に響いたのは蓮華の声音。
同時にソルトの身体は意思と関係なく見えぬ力で背後に引かれた。
見えぬ糸に操られたかのように。



