「てめぇ、六花のピンチになにフェードアウトしようとしてやがる?」
「勘弁してくんないかなぁ。お姫様救出は王子かナイトの役割じゃん」
「愛しの六花ちゃんのピンチだろ!?」
「いや、寧ろ俺乙女を攫って色々しちゃう魔王属性だし。そっちのが色々役得だし。ってか、だいたいしてここ誰もいないじゃん」
それは…確かに…。
勇んではみたがその為の異変なんてものはソルトの目にも見当たらない。
いつもの中庭、いつもの風景。
漂う空気も風もいつも通り……ではない。
「……居た。…確かに六花はここに居たな。…時雨さまも」
百夜に疑心をぶつけるより早くソルトの嗅覚が確信を得る。
間違えようのない六花の匂いは勿論、時雨の匂いもふわりふわりと空気に残っているのだ。
それでも残り香と言える程度の僅かなもの。
鼻のきくソルトだから感じ取れたもので、何処を見渡しても姿はない。
「匂いはパタリとこの場で途絶えてる」
「ほらね、居ないんだったら余計に好都合。俺は騒ぎが起きる前にお暇させてもらうよ」
「お前はぁぁぁ!」
なんて薄情な奴だ!と去りかけている蓮華にソルトが再び手を伸ばした時だ。
ソルトが阻むより早く2人の前に何かがドサリと落下してきたのだ。
一体なんなのか。



