嘆いていいのか驚いていいのか。
結果両者に苛まれたソルトの大混乱ぶりといったら実に弄りがいのあるもの。
普段であるならまちがいなく百夜と蓮華に今までの事を不能になるまでほじくり返されていたことだろう。
だけどいくら構えようが今の百夜からは嫌味な追い込みは弾かれず。
寧ろ、ソルトの方ではない、なんならこの空間でないどこかを見つめて眉を寄せている。
薄紫の瞳が左右に動く様はまるで本のページから必要な部分を探しているかの如く。
そんならしくなく真面目な横顔を目の当たりにしてしまえばソルトの混乱も沈静していくというもの。
それに百夜は言ったのだ。
六花が危ないと。
「一体何がどういう事だ?六花が危ないって、」
「…全てを話すには実に長い昔話でね。掻い摘んで話せば六花は妄執の犠牲者になりかけてる」
「はっ?掻い摘みすぎだろっ!?意味わかんねえよっ!?それに六花には時雨さまが…」
「だから急いで六花を探すのさ。六花が六花でいる内に」
「ど…ういう意味だよ…、それじゃあまるで…」
「時雨は悪者って意味だよ。少なくとも僕やリッくんにとってはね」
百夜の言うことは結論ばかりで話が見えない。
説明もなしに突然悪者だと言われてもと、普段であるならソルトもすぐには勇む事は無かっただろう。
それでも百夜の説明足らずが逆に緊迫を煽り、時間を惜しむ様子がそれだけ六花の危機を明確に伝えてくる。



