「おい、百夜?…どうしたんだよ、六花のデータ見るなり固まって」
今の今まで悪戯っ子の様に性質の悪い笑みを浮かべ腐っていた癖に。
今じゃその片鱗は微塵もなく、寧ろこんな驚愕に染まっている百夜の表情は初めてと言える程。
かと言って何がそんなに驚愕なのかは分野外であるソルトと蓮華にはまるで分からずお互いを見合って肩を竦めるばかり。
そんな中で依然時雨はパソコンの画面を見つめながら不動のままで、痺れを切らしたソルトがおいっ。と肩を掴む事でようやく我に返ったらしい。
それでもまだその双眸には困惑がちらつきいつもの冷静さをかく百夜の姿がある。
一体何事であるのか。
わからぬままソルトの眼差しがパソコンに表示されているデータを見つめた刹那。
「……似てるんだ」
「……はっ?…何が?」
「僕の知ってる別の細胞データと作りが似てる」
誰のデータと?なんてソルトが問うより早く、百夜の指先は既にキーボードを叩いていて。
迷う事も間違える事もなく、桁の多いナンバーを打ち込むと六花のデータの隣に表示された別のデータ。
完全一致とは違う。
それでも確かに類似する数値から細胞の様子から。
それでも、ソルトや蓮華が1番に驚愕したのは類似しているという事実と言うより誰のデータであるかということ。
データにはナンバーと一緒にその対象者の名前もしっかりと刻まれており、それを改めて確かめるかのように視線の集中は百夜に注がれるのだ。



