「っ……蜘蛛」
「正解です。先程お借りした蓮華くんの力ですよ」
「本当、嘘つきな魔導士さまだったってわけだ?笑顔の下は真っ黒な策士で、虎視眈々とチャンスを狙ってたんだ」
「嘘つきだなんて。僕は言いましたよ?あなたを口説く気満々だと」
「これが口説いてるってならとんだ紳士がいたもんだね。勝手に特効薬で人間にした挙句見えない糸で自由まで奪っておいて」
「僕は奥手で口下手なもので。それでも相手に想いの丈を伝えるには拘束が1番でしょう?」
「そんな陰湿な奴はどんな口説き方してこようが真っ平御免だね」
「おやおや、やっぱり振られてしまいますか」
「あったりまえだバーカ!誰が好きになるもんか!」
「そんな、陰湿な男を刺激したら危ないですよ?」
「怖くないもん」
ふんっ、お前の拘束なんて所詮は制限時間のある一時的なものじゃないか。
僕に特効薬が効くのは僅かな時間。
こいつが扱う蜘蛛の力だって可能なのは身体を繰るばかり。
精神まで繰る蓮華なら危機的状況とは思うけれど。
身体だけの拘束なら僕が魔女に戻れば逃げ道はあるはず。
まさにそんな思考が巡っていた最中の瞬間。
プスリと小さくも痛みを覚えたのは首筋で、驚愕に見開いた双眸にはこちらに銃口を向ける時雨が映り込む。
そしてじわじわとボヤけ始める思考能力と視界と。
何で?なんて愚問も愚問。
目の前の男になにかをされたのだ。



