六花本人でさえ不思議な程時雨の纏う雰囲気は馴染みやすいのだ。
本来であるならソルト以外の人間など無興味である六花のスタイル。
蓮華へのそれが実にいい例と言えるだろう。
なのに、どうしてか時雨相手にはさらりと素を晒してしまえる。
その辺にいる少女のように砕けた自然体で接してしまえる。
まさに、六花自身もその疑問にぶつかっており。
なんでだろう?なんて思いながら再びチョコレートを一つ口内に放り込んだと同時。
くしゃりと頭を撫でてくる柔らかな手つきに振り返れば、そのまま頭から頬へと場所を変えてくる時雨の掌。
覗き込んでくる表情は実に穏やかな微笑みで、紫の双眸にも邪な感情は微塵も見えない。
だからこそ至近距離にも関わらず六花もされるがままに見つめ返して事の流れを見守ってしまう。
それに、どうしてか触られる事に嫌な感じがしない。
寧ろ懐きたくなるくらいに心地がよい。
ふわふわと夢心地になりそうな程。
「変なの。なんでかな?今日初めて会ったはずなのに魔導士さまが懐かしい感じがする」
「おやおや、浮気心を出してはリッカくんが泣いてしまいますよ?」
「浮気とかじゃないもん。ラブじゃなくてライクの話」
「フフッ、そうですねえ。確かに僕もお嬢さんといるのは心地がいいですし、……自分に娘がいたらこうだったのかもしれないという叶わなかった夢にも浸れますね」
なんて寂しげに微笑んでみせるのか。



