「ふっふふ〜、今頃ソルトはヤキモキしてくれてるかなぁ〜」
まさに悪戯っ子全開。
嬉々とした感情を押し隠せないとばかりに笑う六花は時雨と共に本部敷地内の中庭にその身を移していた。
流石に本部内で無登録の魔力を使えば騒ぎとなる為、移動の術を使ったのは時雨の方であったのだ。
そうして誘われたのは年中新緑に満ちる美しい中庭の中心で、噴水の縁に並んで腰掛けたタイミングの六花の失笑。
きっと今頃声を張り上げ憤慨している事だろう。
悪態をついて、もう嫌だと喚いて。
それでもきっと直ぐに諦めの溜息と共に冷静さを回帰させて。
見てはおらずともソルトの事なら手に取るようにわかると、クスクス笑いながら幸福感に酔いしれていた頃合い。
「お嬢さんは本当にリッカくんが好きなんですねえ」
不意に隣から響いたのは時雨の柔らかな声音。
実に楽しげな六花の姿についついクスリと笑ってそんな再確認の一言が弾かれたらしい。
振り返り捉える時雨の表情もまた穏やかなもの。
どこか同調感を覚える時雨の一言には六花も笑みを強めて返すのだ。



