そうして、どうしてだ?と追及してみればこのソルトの複雑そうな戸惑い顔である。
一体何がそんなに問題なのかと更に疑問が強まるのは当然というもの。
答えを聞くまで目を逸らさないぞと言わんばかりの六花の気迫にはソルトも適当に流すわけにはいかず。
それでも本当の事情を語るわけにもいかないのだ。
結果、苦笑しながら告げる理由と言えば。
「……食うにはまだまだ未完熟な気がしてな」
そんな一言。
本題からは濁してはいるが、あながち嘘とも言えないこの理由。
決して六花を子供扱いをしているわけではないのだが、大人扱いをするには少々早熟。
まして付き合いを始めたばかりであるのだから早急に関係を深める必要もないだろうと言うのがソルトの理性的な結論である。
まあ、それを貫くには自分の本能の欲求が煩いわ、六花の魔女の匂いもなかなかの厄介所。
結果危なっかしく揺れ動いてしまうからこうして六花にいらぬ不安を抱かせてしまうわけだ。
理由を告げた今もやはりそれだけでは納得しない六花がふくれっ面を向けているのが良い証拠。



