ようやく真面目な話になっても六花を介入させるとどうにも張っていた糸が緩んでしまう。
今までの会話の流れすら聞いていたのかいないのか。
今も他人事の如く指に付着したチョコレートを舐めている呑気さであるのだ。
そんな姿にソルトがやれやれと頭を抱えてしまったのだが。
「ないよ、」
「……あっ?何が?」
「薬なんて飲んだ事ない」
「………はっ?」
「なんなら、風邪なんて物も含め病気なんてなった事ない。だから病院なんてものも行った事がない」
「………」
「おやおや、」
「エキセントリックガールですねえ」
唖然呆然とはまさに。
六花の発言にはソルトは勿論、魔道士二人組も衝撃を見せたというのに。
当の本人は実にあっけらかんとまたひとつチョコレートを頬張り唇をペロリと舐めてみせる。
それでも、今までの様に自主的に蚊帳の外に出るつもりもないらしく。
「そうだ。もう一つ見せてあげようか」
思い出した様に呟くと口の中のチョコレートをいそいそと飲み込み、次の瞬間にはその手には医術用のメスが握られているのだ。
鋭利な切っ先が一瞬で切り裂いたのは和やかだった空気だけではなく。
ソルトの意識が状況に追いつくより早く、その場に赤い花吹雪の如く血しぶきが舞ったのだ。
六花の腕から。



