それでも、この場にきても全く緊張感も集中力もない六花の姿には流石にへこたれてしまいたくもなる。
この女、本気で相談する気あるのか?と、深い溜息を漏らした刹那。
「フフッ、女の子と難しい話には甘いお菓子が必要というものですよ」
そんな穏やかな声音は時雨の物。
クスクスと一笑でこの場の主導を得ると、ゆるりと六花の前に立ち。
スッとその手を差し出してみせたかと思うと次の瞬間にはパッと色とりどりのマカロンが可愛らしく盛り付けられた状態で現れたのだ。
それには当然、
「マッカロォォォン!!!」
六花が大興奮に湧かないはずがない。
「結局は魔力の塊なんですが、どうせなら見た目から美味しくて可愛い方がいいでしょう?」
「良い良い!美味しそう〜!」
「こんなのも出来ますよ」
「金平糖!!タルトにチョコレートにクッキー!!最高〜!!」
六花でなくとも女子が沸き立つようなスイーツパラダイス。
それがまたお洒落なティーパーティーの如く綺麗に盛り付けられているのだ。
そりゃあ、つまらないとフェードアウト気味だった六花も大人しく同席につくと言うもの。
そんな六花の姿にやれやれと溜息を吐くのは当然保護者兼恋人のソルトなのだ。
「すみません時雨さま。お気遣いありがとうございます」
「いえいえ、甘い物を食べてる女の子は可愛いですからね」
「おやおや、女っ気や浮ついた噂のないお前が随分とジェントルな事をやってみせるじゃないか。年甲斐もなくこういうお嬢ちゃんがお前のタイプかえ?」
「えっ!?」
「ハハッ、そう言う百夜殿こそおふざけ混じりにちゃっかり彼女を膝に乗せてたじゃないですか」
「はぁっ!?」
おいおいおい、ちょっと待てよ。
笑えねえからな今の会話!



