かといって、六花もそれに大袈裟に驚くでもなく「あら?」なんて小さな意表を漏らす程度。
大きな意表を突かれた相手と言えば当然、
「っ…百夜ぁぁぁっ!てめっ…それこそ犯罪だろっ!?」
「いやぁ、もう歳だからね。膝に猫の1匹でも乗せたい気分で」
「上手い言い訳つけてんじゃねえぞ?変態ジジイがっ!」
「やれやれ、リッくんが保護者失格にリード出来てないから僕が直々に捕まえおいただけの話だってのに。それに……彼女もなかなか満更じゃなさそうだ」
「っ…六花ぁぁぁ!!?」
ほらね?とわざわざ示すまでもなく目に見えて明確。
百夜の膝から降りるそぶりなんて見せないどころか、寧ろ逆に顔を近づけ百夜の匂いをくんかくんかと嗅いでいるのだ。
そうして、トロリと藤色の双眸を揺らしながら、
「ものすごぉく…あまぁい匂い」
「フフッ、そう?」
「本当…美味しそうな匂い」
「なら、食べてみる?君には少々大人すぎる甘味かもしれないけれど」
「いただきまぁぁす…」
「っ…百夜ぁっ!六花ぁっ!」
「きゃあんっ!?」
「クックッ、魔力の話だってのに」
目の前のソルトなどそっちのけ。
普段なら他人に興味を示さない六花までソルトを蔑ろに百夜と絶妙な会話を繰り広げたわけで。
当然恋人という立場上面白くないのがソルトだろう。



