場所が研究室なだけあってそこら中に詳細のわからない液体や物体が混在していて、普通であるなら手を触れぬようにと気をつけるところであるのだがそこは六花様。
どうやら魔の気が漂う薬品の数々は六花の嗅覚と味覚的には極上の甘味として捉えられるらしく。
様々な魔力の宝庫と言える研究室は正に甘味処。
躊躇いもなくその辺の薬品を手にとっては口に放り込んでしまう姿はスイーツに舌鼓を打つ女子の如く。
そんな六花の暴走にはつける薬無しだと、ソルトも項垂れる以外出来る事がないのだ。
一つ出来るとすれば、
「…まあ、…あれが問題の一つだ」
と、またもや藤色の双眸を輝かしている六花を示す事ばかり。
「クックックッ、確かに破天荒でエキセントリック。糞真面目なリッくんでは無駄に気を揉むタイプのお嬢ちゃんだ」
「分かってくれるか?俺の苦労を、」
「型破りで面倒なところが実に可愛い」
「あっ?!」
「まあお嬢ちゃん、落ち着きなさいって、」
「ふぁっ?」
六花の暴走なんてなんのその。
荒らされ好き勝手されているのはまさに自分の研究物であるのに百夜の顔色が変わる事もなく。
ただ赤子のやんちゃに失笑するが如く構えて見守っていたが、そろそろ話を進めようかと一声。
更には指をパチンと一鳴らししてみせれば、次の瞬間には薬品を物色していた六花の身がストンと百夜の膝の上へと落ちてきたのだ。



