結局想いを通わせても進展が難しい関係にはもどかしさからの溜め息が零れてしまう。
こんなに好きで欲しいと思うのに。
自分の物でありながら思うままにはならないとか、付き合う前より拷問かもしれない。
そんな感覚からついつい皮肉に眉根を寄せて失笑してしまうソルトがいて。
そんなソルトの失笑を見逃す六花でもなく、毎度零される溜め息ともどかし気な笑みには疑問を抱いて答えを求めるようにソルトを覗き込んでしまう。
今もまた然りだ、
「また、その顔」
「えっ?」
「どうしようもない苦悶顔って感じ」
「あ~…いや、」
「……ソルトは……僕といるのが苦痛みたいだ」
「いやいや、そうじゃないんだって。あのな…」
「ダメッ!!」
「……はっ?」
「絶対嫌だからね!!」
「ちょっ…何が…」
「ソルトは僕のだもん!もう貰ったんだもん!!だから絶対に別れないし、誰にもあげないんだからなねっ!?」
「っ~~~~」
半泣きに目を潤ませて可愛い事言うな…。
死ぬ。
俺が死ぬ…。
あー、あー、あーーー、クソ可愛い。
泣かしたい。
ベッドの上で啼かしたい。
別れる気など更々ないというのに、ソルトの憂鬱にはどうやらそんな不安を抱いていたらしい六花の哀願。
それに見事撃ち抜かれたソルトの心中と言えばお約束の如く理性と本能のせめぎあいとなっているのだ。



