寧ろ生きる基盤がソルトであるからして、六花からすれば魔女をするもやめるも選択は実に簡単。
それに付属する影響など微々たる不都合程度であり問題としない。
重要なのは如何にソルトの傍に寄り添えるかどうかという事一択。
そんな六花にどこまで俺馬鹿一直線なんだ。と呆れはしても拒絶の心など微塵もない。
寧ろ、呆れさえも形ばかり。
それを証拠に、
「……責任くらい幾らでもとってやる」
「うっふふ〜、お世話してねダーリン?」
感極まった感情が我慢出来ぬと六花を抱き寄せプロポーズ紛いなセリフまで吐いてしまうのだから。
当然、脳内はもう六花一色のお祭り騒ぎ。
ああ〜、もう本当に俺馬鹿万歳。
責任?取るよ取る取る。
寧ろ、俺が世話焼かずして誰がする!
ってか……無理。
俺が無理。
こんな愛くるしい超絶美少女だぞ?
外に出そうもんならどこの馬の骨とも分からん男に群がられる事は必至。
魔女の力があるならまだしも、人間なった今超絶非力なか弱い美少女だ。
変質者やストーカーに襲われでもしてみろ……、
「っ……三食昼寝付きで養ってやるからこの家から一歩も出るな」
「うーわー、ソルトらしからぬ束縛発言〜。まあ、ニートには願ったり叶ったりな好条件だけどもさ、普通だったら引かれてもおかしくないからね?」
「全ては六花の貞操の為だ」
「うん、どんな妄想からそんな飛んだ発言に繋がったのかな?真顔なのが更に恐いし」
「お前が美少女なんてやってるから…くっ…」
「いやさ、僕も好きでこの容姿してるわけじゃないから。ってか今までもこの容姿で生きてきてたのに、なに?この爆発的過保護状況」
「アホか!魔力を失った今お前はただの美少女なんだぞ!世の中の変質者を舐めんな!」
「…ソルトって絶対に娘に鬱陶しがられるタイプのお父さんになりそうだよね」
ソルトの突如の過保護爆発には流石の六花でさえ呆れ顔に崩れ始めてしまうのだからよっぽどだ。



