Love EaterⅡ



自分が教えずともこの世界に生きていれば否が応でも魔女のあれこれの知識はついて来るだろうと甘んじていた。

その結果が目の前の実に能天気な六花だ。

かといってここでその無知識に嘆いていても仕方のない事。

再びの仕切り直しだと落としていた頭を持ち上げると。

「まあとにかく、何で魔女が法律違反なのかって言うとだ。お前も今日実際体感したように、魔女の力は計り知れない。その意思一つで物も人も無に帰せる程」

「でも、ただそれだけの理由ならここまで魔女防止策は徹底しないよね。別に興味ないからわざわざ理由探りなんてしなかったけどさ」

「いや、寧ろしなかった方の理由こそ魔女を法で裁く事になった要因なんだよ」

「つまりなんなのさ?魔女であるだけで罪と裁かれる程のどんな理由が?」

「魔女は魔を孕む事が出来る」

「魔?」

「この世界には人間と魔女の他に魔物も存在してるんだよ。まあ、魔物って言っても別に怪物みたいな蛮族がウロウロなんてわけじゃない。殆どが人間と大差ない姿で紛れてるだろうし、人間と魔物の均衡も現状平和的に保たれてるって言えるだろう」

「魔物…。つまりはソルトもそうだって事?さっきの…」

「俺は半端者だ。人の血の中に何の因果か魔物のそれも目覚めちまった口。前に会った蓮華もそうだ。遡った血のどこかに基盤となった魔物がいて、こうして突然にその血が覚醒しちまう事がある。…両親が普通の人間だったとしてもな。そういう対象を政府は魔混じりって総称してる」

「魔混じり…」

「でもって……これは政府最大の機密事項でもある」

だからこそ六花にも語れなかった自分の事情。