とにかく、今は小さくも行き違った誤解は解くべきだろうと、膨れっ面で涙まで浮かばせている六花を抱き寄せると宥める様に頭を撫でる。
「まあ聞けって、」
「グスッ…僕ってまだ子供扱い?魅力不足?」
「違う、そうじゃねえんだわ。…ぶっちゃければ…年がら年中お前に発情しっぱなしの余裕なしなんだよ俺」
「だったら尚更意味分かんないんだけど…」
「だから…今からそれも含めさっきの事も説明してえんだけど」
「さっきって…わんちゃん化?」
「フッ…犬じゃねえから。狼だ」
本来であるなら直様六花から突っ込みが入ってもおかしくない衝撃の発覚であったと思うのに。
どうも六花からしたらソルトの変化はさしたる衝撃ではなかったらしい。
それを証拠にこうして話題を引き上げてもそれがどうした?と言わんばかりのキョトン顔を覗かせてくる。
この予想外の手応えの無さにはソルトも苦笑いを浮かべるしかない。
それでも仕切り直しだと一息つくと。



