「てっめぇぇぇ、いい加減に観念して魔女卒しろよっ!!」
「ふっふ~嫌だよ~ん」
相も変わらず、想いを通わせようと平行線であるソルトと六花の追いかけっこ。
悪戯程度の魔法を使っては神父としてのソルトを呼び出す六花は、どうやらまだまだ魔女をやめる気はないらしいのだ。
当然、仕事上も私情でも六花に魔女をされては困るソルトとしては、なんとか六花に特効薬を撃ち込もうと躍起になるしかない。
今も銃口で六花を追いかけ、時折隙をついて発砲してみるも毎度ひらりと交わされ終わる。
最早このやり取りがこの二人の挨拶の如く。
全く進歩がない二人だと思ってしまうかもしれないがそうでもない。
「ソールト、」
「なんだよっ!」
「んっふふ~。もう魔女と神父ごっこいいや」
「あっ?」
「ん……抱っこして?」
「っ………」
ね?お願い。なんて両手を広げながらコテンと小首を傾げる愛くるしさに六花馬鹿なソルトが勝てるわけもなく。
くっそ可愛いだろうがぁぁぁ!!
腹立つほど可愛すぎて死ぬっ!!
と語彙力皆無の感情で悶えるのも最早毎度の事。
最初こそ進歩のない魔女と神父ごっこに興じるものの、そこは想いを通い合わせた二人だ。
形ばかりの敵対関係など長続きする筈もなく、結果…
「あ~もう……来いよ」
複雑な心中を後回しに六花の愛くるしさに手を伸ばしてしまうのだ。



