ああ、またその眼。

紫の……。

なんで……また?

六花のその変化には本能に飲まれている状態でもそんな思考が過ってしまうらしい。

それでもやはり理性が回帰するまでは作用せず、六花の拙い貪りに煽られやり返す勢いに口内を荒らして酸素を貪り始めてしまう。

とにかく、今はこれが欲しい、欲しい、欲しい。

食らいついて貪って食らい尽くしたい。

「…っ……んんっ?!」

甘くて……美味くて、堪らない。

「ふんんっ…!?ソル……」

もっと、もっと……もっと……。

「んぁっ…ふぁっ!!?なっ……んん~~っ」

全部……俺の物に……。

「待っ……んんっ__」

うるせえよ。

今更『待て』とか騒ぐんじゃねえ。

黙って俺に食われて…、

「り、六花りっかぁ!!」

「っ……!!?」

急に六花が抵抗を示して来ていたのは気が付いていた。

気がつきつつも『関係あるか』と本能に忠実に、黙らせる勢いで口づけ肌を弄り拘束していたのだが。

流石に呼ばれ慣れない名の響きと、思いっきり顎を押し退けに来た腕の力には強制的に理性も引き起こされたらしい。

そうして何とか取り戻した理性の思考で真っ先に巡ったのは、

『お前、何でその名前……っ!!?』

と、言う疑問であって。

そしてその疑問は声にしたつもりであったのだ。

なのに、ソルトの耳に届いたのはそんな疑問の一言ではなくアオアオと鳴く犬の声ばかり。

その瞬間のデジャヴと衝撃ときたら…。

身体を蝕んでいた欲求や熱なんて瞬く間に掻き消された程。