気づけば家の前にいた。

誰の仕業かわからない写真。
もう、学校になんていけない……


「…お母さん」

ずっと我慢していた。

「お母さん、助けて…」


私が幼稚園生の時にお母さんが病気になった。
お母さん似の私は長い髪を切って可愛い服もやめた。
そうしないと、お父さんが苦しむから。

入退院を繰り返し、私が小学校を卒業した数日後に、お母さんはお星様へと姿を変えた。

一度だけ、卒業式の日だけ、
お母さんが私のために選んでくれたスカートを履いた。

お父さんも、私も、お母さんとの記憶を
大切な思い出に変えようと必死になって生きているんだ。

でも、お父さんは現実を受け止めきれずに、
今もお母さんとの記憶の中を彷徨っている。

私も、ふとした時に「お母さん」と呼んでしまいそうになる。
だって、お母さんが大好きだから……