中学生になって少し経ったある日
たまたま午前授業で午後から咲月と久しぶりに遊ぶことになった。
卒業式以来会っていなかったから、少し緊張していた。

「めぐるくーん」

でも、彼女の姿を見てそんな感情は吹き飛んだ。
ずっと変わらない彼女の笑顔に、思わず笑みがこぼれる。

「どうして笑ってるの?」
「なんでもないよ」
「ふーん…ねぇ、映画観ようよ」
「うん、いいよ」
「やったー! 観たい映画があるんだ」

咲月は僕の手を引いて映画館へと歩き出した。

咲月の通う中学校は、女子の制服にスラックスを取り入れていて、スカートと選択できるらしい。
ネクタイとリボンも選択制なんだって。

ほとんどの人はスカートらしく、スラックスは咲月くらい。
それに、スラックス+ネクタイの咲月は男の子みたいだった。

咲月がこういう格好をしている理由を知っているし、別になんとも思っていなかった。

あんなことが起こるまでは……