「めぐるくん」
「なに?」
「1つ聞いてもいい?」
「うん」
「めぐるくんって、暮沢さんのこと好きなの?」

彼女は僕が、マドンナと呼ばれている 同じクラスの暮沢さんのことが好きだと思っている。

「……咲月くんはどう思う?」
「えー、わかんない」
「知ってるくせに」

僕は、きみのことが……

「たぶん、好きだよ」
「やっぱり?」
「わかんないって言ったじゃん」
「確信に変わったよ」

目を細めて僕を見ながら、好物の「いちごみるく」を飲む 咲月。

「それ、飽きないの?」
「んー、めぐるくんが暮沢さんのことを想っているのと同じだよ」
「つまり、飽きないってことか」
「そういうこと」
「でもさー」

笑っている 2人を見る。

「両片想いっていちばん厄介だと思わない?」
「早く付き合えーってなるよね」
「見てる分には楽しいけど」
「めぐるくんは……」

咲月は静かに言った。

「辛くないの?」

咲月の瞳がゆれている。

少し、息苦しい。