めぐるくんと面会できるようになって、初めて病室に入った。

「めぐる、くん」
「……えっと」
「どう、したの? 咲月だよ?」
「ごめん。僕、記憶喪失になったみたいで…」
「え!?」

めぐるくんが、記憶喪失……
じゃあ、私のことも……

「咲月…“くん”?」
「……うん、そうだよ」
「かわいい名前だね!」

めぐるくんはそう言って笑った。

私のこと、男の子だと思ってるんだ。
でも、忘れてしまったのなら、
また新しく作ればいい。


「“ボク”とめぐるくんはね、仲のいい友達だったんだ」


きっと、これでいいんだ。